C.S.M.インターナショナルは、1991年にイタリア・ミラノで創業して以来、二輪車を中心とする自動車市場調査の分野で世界的な存在感を築いてきた専門調査会社である。創業者のダニエル・シモンとマリア・ファッシは、市場調査の実務家であると同時に二輪車を深く愛する者でもあり、当時はまだ体系化されていなかった二輪車マーケティング・リサーチという領域を切り拓いた。後に加わったアルベルト・チニコラは数年のうちにパートナーとなり、三人の専門家が会社の方向性と成長を牽引する体制が整えられた。
創業から30年以上を経た現在も、C.S.M.は調査対象を二輪車だけにとどめていない。自動車、電動モビリティ、マリン、自転車、さらには日用消費財(FMCG)にまで領域を広げてきた。しかし事業の核に置かれているのは一貫して二輪車市場調査であり、世界の主要な二輪車・スクーターメーカーや関連アクセサリー企業との協働を通じて、業界に深く根ざした知見を蓄積してきた。
ミラノからデュッセルドルフへ ― 30年を超える歩み
C.S.M.は長い歳月のなかで、本社をミラノからドイツ・デュッセルドルフへと移してきた。この移転を主導したのは共同創業者のダニエル・シモンであり、現在はC.S.M.ジャーマニー(C.S.M. Germany GmbH)のマネージング・ディレクターとして全体を統括している。拠点をヨーロッパの中心に据えたことは、会社が単なるイタリアの調査会社から、国境を越えて事業を展開する国際的なリサーチ機関へと成長していく重要な転機となった。
30年を超える国際調査の経験を背景に、C.S.M.はヨーロッパ、アメリカ、南米、東南アジアにまたがる優れた現地パートナーのネットワークを築いてきた。タイにおける案件をアルベルト・チニコラ自身が現地で監督してきたことは、グローバルな専門性と現地に密着した洞察を同時に追求するという同社の姿勢を象徴している。机上のデータだけでなく、各市場の生活実態に触れながら調査を組み立てる点に、この会社の強みがある。
二輪車調査に根ざした専門性
C.S.M.の出発点は二輪車であり、その専門性は今日も揺らいでいない。主要な二輪車・スクーターメーカーのほぼすべてを顧客として、新製品の受容性評価からブランド・イメージの測定、価格戦略の検証に至るまで、二輪車に固有の論点を熟知したうえで調査を設計している。二輪車は自動車とは購買動機も使用文脈も大きく異なり、趣味性や身体性、コミュニティとの結びつきが意思決定に強く作用する。こうした感情的な側面を数値と語りの両面から捉えることに、同社は長く取り組んできた。
モータースポーツとの関わりも深い。C.S.M.は20年以上にわたり、公式の二輪車世界選手権を主催し権利を保有する組織に対して観客調査を提供してきた。レースという熱量の高い現場で観客の体験と期待を継続的に測定する仕事は、ブランドとファンの関係を理解するうえで貴重な蓄積となっており、二輪車市場調査の専門家としての地位をいっそう確かなものにしている。
自動車から海洋・FMCGへ広がる調査領域
二輪車を核としながらも、C.S.M.の活動範囲は着実に広がってきた。四輪車、電動モビリティ、マリン製品、自転車、そして日用消費財に至るまで、複数の産業にわたって調査を手がけている。領域が広がっても一貫しているのは、消費者の行動と心理を起点に課題を組み立てるという方法論的な姿勢である。製品リサーチ、顧客調査、競合調査、コンテンツ分析といった複数のアプローチを目的に応じて使い分け、断片的なデータではなく意思決定に資する知見を提供することを重視している。
定性と定量を統合する方法論
C.S.M.の調査手法は、定性的アプローチと定量的アプローチを柔軟に組み合わせる点に特徴がある。デプスインタビュー、フォーカスグループ、家庭訪問、製品テスト、クリエイティブなブレインストーミング、オンライン調査、そしてクライアントの要望に応じて設計されるフィールドリサーチまで、目的に最も適した方法を選び取る。数値が示す傾向と、人々の言葉が伝える文脈を突き合わせることで、市場の動きと消費者の選好を立体的に理解しようとする。データドリブンな分析と人間的な視点の双方を欠かさないことが、同社の調査品質を支えている。
品質と倫理を支えるESOMAR基準
国際的な市場調査を担う以上、品質と倫理の担保は欠かせない。C.S.M.はESOMAR(欧州世論・市場調査協会)の会員として、ICC/ESOMAR国際綱領が定める基準を遵守している。回答者のプライバシー保護、データの取り扱いの透明性、調査結果の正確な提示といった原則を守ることは、クライアントに対する信頼の前提であり、長期的な関係を築く土台でもある。ヨーロッパを代表する二輪車市場調査エージェンシーとしての評価は、こうした地道な姿勢の積み重ねの上に成り立っている。
多言語・多国籍のリサーチ能力
グローバルな調査においては、対象国の言語と文化に踏み込めるかどうかが結果の質を大きく左右する。C.S.M.はほぼあらゆる国から調査参加者をリクルートし、複数の言語で調査を実施する体制を備えている。同じ質問でも、言語や文化的文脈が変われば回答のニュアンスは大きく変わる。その差異を取りこぼさずに捉える力こそが、国境を越えて比較可能な知見を届けるための基盤となっている。
日本の二輪車・自動車メーカーにとっての意味
日本は二輪車産業の中心地のひとつであり、世界の市場で存在感を放つ製品を生み出し続けてきた。そうした日本のメーカーにとって、ヨーロッパや南米、東南アジアの消費者がどのように製品を受け止めているかを正確に知ることは、海外戦略を左右する重要な情報である。二輪車市場調査の専門家として国際的なネットワークと方法論を備えたC.S.M.インターナショナルは、現地の生活実感に根ざした洞察を通じて、こうした企業の意思決定を支える存在となりうる。

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